スピード違反が副作用?!

 僕の患者で抗うつ薬を飲んでる人が警察にスピード違反で捕まった時、「飲んでる薬の副作用だ」と言い訳したらしく、その件で僕も事情聴取された。一般に医者の言う副作用とは、服用後に患者に起こると予想される事象のうち、薬服用との因果関係が科学的に明らかになっている事象のことであるが、患者にとっては、服用後に起こりうる不都合な事象が全て副作用と主張されることが多い。間を取って、薬の添付文書でなどは「有害事象」とされるが、そうなると、睡眠薬の有害事象に眠気、とかおかしなことになるのですね。アメリカで殺人抗うつ薬のせいだと主張して裁判になったことがあったけど、その時は確か製薬会社が慰謝料を払って和解してしまったのでその主張自体の是非は問われなかったけど、僕としては判決まで行って欲しかったと思ってました。
 患者の使う言葉と医者の使う言葉の意味が違うってのは、お互い不幸だから何とかしたいとは何時も思うのですが、でもうつで希死念慮のある人に初めから「この薬を飲んでホントに死んじゃう人も少なくない」なんて言いだしたら、先ずそんな薬飲んでは貰えないと思うのですね。
 それにしてもスピード違反が薬の副作用だなんて、恐れ入りましたね、誰に教わったのでしょうか。でも、飲んだら運転は控えましょう、と渡した薬剤情報には書いてあったハズですヨ。