ガス壊疽患者が手術拒否して精神科?

 先日の救急の担当日の夜中に、隣町の救急病院の整形外科のB先生から電話が入った。「精神病状態の患者がガス壊疽になって足を切断しなきゃならない」と判断したのだけれど患者本人が「錯乱していて手術出来ない」ので「措置入院」させて欲しい、という内容であった。「措置なら警察に」とお願いしたのですが、「そちらは精神科救急だろう」と押し切られて、さてどんな患者がくるのやら、と思っていたら、来た患者は一見大人しく話も通じるようで精神病には見えなかったが、足切断は「死んでもいい」と拒否した。付き添いの家族の話では「患者は足の切断を拒否しているが、当院にくれば強制的に足の手術をしてくれる、と言われたので来た」と言う。あわててB先生に電話したら、「切断しなきゃ死んじゃうのにそれを拒否するのは精神病の自傷行為に該当すると判断した」といい、「精神科医強制治療を決断すれば実際の手術は誰がやっても責任は問われないと聞いている」と意味不明なご発言。
 しょうがないので当院の整形外科のC先生を呼びだして、でも本人が手術を拒否するのは同じで、C先生は彼から「手術を拒否した結果死に至ってもやむを得ない」との念書を取って、保存的な治療をすることになって、でも幸いなことに治療がうまくいって足は切断されずに済みました。
 で、本題。良く考えるとB先生の言ってることはそれ程おかしな事ではないような気もしてきて、でも法律上は医療は本人との合意が基本のはずで、でも本人はガス壊疽がそんなに怖い病気とは知らないだけだろうから、とか考え出すと結論は簡単にはでない。でも、だからと言って夜中に精神科に丸投げする話ではないでしょう。丸投げ反対!