JITCOにモノ申す

 外来にベトナム人が連れて来られた。3か月研修で近所の工場に来たが、1か月して仕事が手につかなくなって泣いてばかりいるというので、心配した日本人の同僚が通訳を兼ねて連れてきた。話を聞くと、「仕事がイヤで帰りたいのに帰してくれないのだ」、という。同僚によると、「ベトナムからくる時に仲介業者から前借でお金を借りていて、借りが返せるまでは働くことになっているから帰れないのだ」と言うこと。パスポートはその仲介業者が時期が来るまで預かっているのだということであった。精神病ではないから、と、帰ってもらった後でその工場に問い合わせたら、JITCO(国際研修協力機構)に聞いてくれ、ということであった。JITCOに問い合わせたら、「JITCOは研修希望者にその工場を紹介するだけで、前借のことやパスポートのことは一切関知していない」、ということで、仲介業者の名前も教えて貰えなかった。余りにビックリしてベトナム大使館に電話してみたら、「そういうことは当人から訴えがあれば検討する」とつれない返事であった。ネットで調べて見ると、なんとこの問題は「人身売買」として問題になっているらしく、アメリ国務省の2011年人身売買報告書では、日本を「Tier2: 人身売買撲滅のための最低基準を十分に満たしていないが、満たすべく著しく努力している国」として挙げていて、日本は目的国、供給国、通過国であることが指摘されているのであった。昔、アメリカでは逃亡を企てた奴隷を精神病として扱ったというけれど、それと同じじゃマズイんじゃないかしら、JITCOさん!