無認可老人施設火災の本当の問題点

 群馬県の「静養ホームたまゆら」の火災で死者が出た事件の裁判で検察は、老人ホームの施設基準を念頭にして設置者の過失責任を問うているようでありますが、それは明らかにムリがある。静養ホームたまゆら老人ホームではないのだから老人ホームの設置基準に従う義務はなく、だから、設置者の責任はあくまで道義的責任に過ぎず、設置者は既に道義的責任は認めているのだから、そこは争点にはならないハズである。それなのにそこを争点にしているのは、別の問題を表に出したくないからと思えてしまう。別の問題とは、たまゆらを無認可老人ホームと知りつつそこに介護の必要な老人を送り込んだ行政の問題である。僕の知ってる在宅介護支援センターには、「老人用の安い入所施設一覧」があり、そこには無認可施設も多いのですが、その一覧表の出所は市役所なのです。民間の怪しい所など頼らずに、市営で作れば良いのにと思うのです。憲法上日本国民は最低限の生活を保障されているのだから、例えば生活保護の人が介護が必要となった場合の処遇施設くらいは公設で作っておくべきと思われるけど、実際はそんな施設は僕の知る限りない。ウチの病院の近くの救護施設生活保護者の収容施設)では介護が必要となってくると当院(つまり精神科病院)にSOSが入ることになっているようなのでありますが、これは順逆が反対と思うのです。
 この火災の最大の問題は、この施設にスプリンクラーが取り付けてられていなかったことであると思う。もし設置されていれば死者は出なかったはずであるが、例えたまゆらが正式の老人ホームだったとしても、この問題は片付かない。なぜなら、日本の老人施設の設置基準ではスプリンクラーは義務ではないのであります。僕は検察にそこを追及して欲しかったのでありますね、アーメン。