認知症老人の入院のタイミング

 厚生労働省は、認知症患者を最後まで地域で(つまり自宅で)看取る、という方針を変えようとはしないけど、実際には認知症で精神科に入院が必要となる人がかなりの数いることは間違いないのです(僕の以前のブログ:認知症老人のケアの場所、を参照して下さい)。だから、精神科に入院するのは仕方ないにしても、問題は入院のタイミングであります。家族の気持ちが擦り切れてしまってからの入院では遅いのです。ケアする家族が疲れ果て、患者と心中しようか、と思い悩む位まで在宅で頑張ってしまうと、入院しても、その後の家族と本人の関係がうまく行かないことが多いのです。家族は辛かったことばかり思い出して、患者のことを患者が死ぬまで、いや、死んでからも未来永劫に、家族が生きている間中恨み続けることになるし、患者も入院させられたことを死ぬまで恨み辛むことになるようです。だから、認知症の患者の家族には、まだ余裕がある内に、「もう少しなら面倒見れるカナ」と思えるけど「シンドイな」、と思った時に、一度入院させてみることを勧めているのです。認知症も重度になる前ならいろいろ治療することが出来るし、患者も入院すると気持ちが引き締まることになって、自分の甘えに気づくことも出来ることがあるようです。また、家族は患者に入院してもらったことで自分と患者との関係を冷静に見つめ直すことになり、「じゃ、もう少し家でやって見るか」と思い返して、また退院させてやり直すことになることにもなるし、退院にならない場合でも、温かい気持ちで患者を見守ることが出来、患者の死後も「良い人だったな」と思い返すことが出来ることになるようです。でも、実際は、ギリギリまで在宅でガンバル人が多いのは、やっぱり行政の宣伝効果なんでしょうね。何事も早期発見早期治療、というのは皆知ってるけど、早期入院、なんて誰も言わないものね。でも、早期入院、おススメです。