ギャンブル依存は治るか?

 帚木蓬生さんなどがテレビや新聞なんかで色々言うもんだから、ギャンブル依存・中毒を何とかしてくれ、と、外来にくる人が増えてきた。「テレビで見たんだけど」とか、「新聞で読んだんだけど」などと言ってきて、中には新聞記事を切り抜いて持ってくる人もいる。それだけ困っているのは分かるけど、ギャンブル依存・中毒ってのは、あくまでたとえでありまして、ギャンブル依存の原因が判明している訳でもないし、治療法が確立してる訳でもないのであります。帚木さんなどのいう「治療」は、多分アルコール依存・中毒の治療になぞらえているのでしょうが、アルコール依存・中毒は、身体的な原因の判明している病気ですが、ギャンブル依存・中毒はそうではないのです。似ているから、というのでは科学ではないでしょう。イルカサメが似ているからといって同じに扱う人はいないでしょうに。いつも思うんだけど、何でもかんでも精神科、は無理というものです。
 最近相談に来た、40歳のパチンコ中毒の母も、「自己責任、が大人の条件で、大人になってもそれが出来ないんだからこの子は病気です。病気なんだからどうしたって医者が治して下さらないと」と言うのですが、本人は「他人に迷惑かけてないんだから良いじゃないか」と言うのですネ。生活費は親持ちで、親や友人に借金しまくりで、「迷惑かけてない」もないもんだ、とは思いましたが、いろいろ言うのも面倒くさいので、「僕には治せません」と言ったら、親子2人して、「わざわざここまで診察に来たのに、ろくに話も聞かないで治せません、とは何だ」と怒りだされて、外来婦長に間に入ってもらって、只管平身低頭して許して貰いましたが、<なんで僕が謝んなきゃいけないのかなぁ>と今でも情けなく思いますが、お客様は神様だし、碌に話を聞いていなかったことは確かなので、そこン所は反省しなきゃ、とは思ってみても、
 治んない物は治んないよネーだ。