セカンドオピニオンは時間のムダ ?

最近は、患者に治療の選択肢を与えよう、という考え方が主流になっている。これは欧米のガイドラインの考え方であり、それはそれで医療一般的には良いことであろうと思う(外科の先生に上手下手があるのは間違いないでしょう)けれど、こと精神科に関してはセカンドオピニオン無意味であろうと思うのであります。セカンドオピニオンを求めてくる患者やその家族は、「患者の病気の症状が良くならないのは、治療者の出す薬が本人に合わないせいであろうから、別の先生に別の薬を出してもらえれば症状がよくなるかも知れない」と考えるようでありますが、精神科の薬と患者の相性は、試してみないと分からないので、医者を変える、ということは、初めからやり直す、ということになり、時間の無駄なのであります。薬を変えて欲しいのなら、今診てもらっている先生と相談すれば良いだけなのです。今診てもらってる先生とうまく相談出来ない人が、新しい先生とうまく相談出来る訳はないのです。もっというと、薬を変えて良くなるものなら、今の先生がとっくに変えてる訳でありまして、今の先生が薬を変えないのは、「これ以上は良くならない」ということなのでありましょう。実際に、セカンドオピニオンを求めてきた人で僕が治療を引き継いだ人で、症状が改善した人は、殆どいません。精神科病院の言い伝えのひとつ、「医者を変えると具合は悪くなる」というのは本当だ、と思います。まあ、「お前が藪なだけ」という異論は受け入れますがね…
   さらに蛇足:陰性転移というやつで、会いたくないな、と治療者側(僕の事)が密かに思   っている患者は結構多いんですが、診療拒否は出来ませんが、そんな患者が、セカン   ドオピニオンを求めに行きたい、と言ってくれれば、うれしくなってしまいますですね。喜   んで、優しい開業医をご紹介申し上げておりますよ。随分自分勝手な医者ですね。