2年間保護室

今週外来に来た、うつ病のOさん55歳男は、現在は完全寛解で、仕事(週3回半日)も出来ているが、実は、一昔前に、2年間継続して保護室に居た人である。その間、奇声を発するが言葉にはならず、壁に頭をブツケテ血だらけになっていたり、自分のウンコを食べたりして、「人格崩壊・荒廃」という悲惨な状態であった。主治医の僕とは全くラポール意志の疎通)がとれず仕舞いで、「この先は絶望」と放置せざるを得なかった。見兼ねた当時の師長さんが特別のメニューを組んで、スタッフを張り付けてくれて、隔離解除の試みが始まり、1年後には大部屋には出る事が出来たが、自発的な行動は全くなかった。妻も絶望して、引き取りは拒否していた。でも、母親が「可哀そう」と引き取る事になり、入院6年で退院した。退院後1年して、「母が認知症で施設に入所する」というような状況になった頃から、復活劇が始まった。Oさんが、「母親の面倒は俺が見る」と言いだして、炊事洗濯掃除を始めたのだ。初めは誰も回復を信じなかったが、数か月過ぎるウチには関係者は皆Oさんの完全復活を認めるようになっていた。外来でも僕と会話出来るようになり、「母親の介護についてアドバイスが欲しい」などと言われた時には、ホント涙が出そうになった。奇跡は起こるものなんですョ。