自分では分からない

初診のうつの患者さんで、家族は過労ストレスを訴え、実際に残業が月100時間にもなるのに、当の本人は「仕事は少しも苦にならない」と言い張る人は少なくない。本人には「仕事がストレスになっている」ことが分からないのだ。総じて精神病は、障害が進んでくるのに反比例して、病識がなくなってくるものだ。で、治療が進んでうつ症状が軽くなってくると、結構そのシンドさを思い出すようになってくる。実は、僕自身のうつの場合も、うつ病の薬を飲み始めた時は、「自分の体調がすぐれない」自覚はあったが、それが「仕事のストレスが原因だ」という自覚はなかった(右図)。初診時、僕が「甲状腺の検査もして下さい」と言った時、僕を診てくれた同僚が「こいつ、分かってない(病識ない)ナ」と思った、と、僕が感じたのを今も鮮明に覚えている。でも、その後、初回のうつが回復した後も、僕は「自分のうつの原因が仕事であった」とは自覚出来なかった。そしたら薬止めて1年後に再発してしまった。再発後服薬再開したらうつ症状はすぐ回復したけど、再開後1年位して、ようやく当時に自分の日常の仕事がストレスフルであった事に気がついたのでありました。以前の日記を読み直したら、当時の患者や同僚やらに対するモンクが山盛りでありました。