患者の本音募集中?

先日の朝日新聞に精神科開業医の夏苅郁子先生が患者の本音を集めるサイトを開いた、と記事が載っていた。http://natsukari.jp/を開いてみると、「精神科医の一人一人に患者さんの本音が伝わることで、毎日の診療が良い方向に変われる」と動機が記されてあった。僕の結論は残念ながら、精神科病院では、一般には、「精神科の医者と患者は本音では通じ合えない」。患者の本音は、「自分は病気ではない」と「強制入院反対」あたりだろうと思うけど、これは医者としての診断・治療の義務と真っ向から敵対せざるを得ないものだと思う。100年前にブロイラー先生が記したように、「われわれ精神科医は我々の社会の残酷な見解にしたがうという悲しむべき義務の下に立っている」のである。幾ら患者に同情しても、警察や家族の意向には配慮せざるを得ないのが実情だと思う。だから僕は患者の本音は幻覚や妄想の内容と同様に、聞くだけヤボ(ヤブ?)だと思う。医者の妄想なんだろうけど、言葉では対立しても、言葉になる前のトコロで患者さんの気持ちに寄り添えれば、そう思うのであります。
<患者と医者が本音を語り合えば通じるものがある>という彼女の信念を疑うわけではないけど、開業医の集客行為とは疑わないけど、この辺が開業医と勤務医の違いかしらね。