夜殴られる

寝てる間に何かされる」と言う被害妄想は多いが、スタッフ泣かせのイヤな訴えだ。2年前の9.25のブログにも書いたMさんも結局最後まで(今年3月、脳出血で死亡)保護室から出せなかった。今問題のTさん45歳は、最近、「昔同室で虐められていた(現在は別の病棟にいる)Yさんが夜中に頭を殴りに来る」と主張し出した。朝起きるときに頭痛がするので分かると言うのだ。内から鍵の掛かる部屋で寝ていても、鍵を開けて入ってくると言うのだ。先日は遂にYさんと廊下ですれ違った時、興奮し、Yさんにむけて「夜中に来るな」と言ってしまった。この妄想以外には全く問題がなく、単独外出も出来ているレベルの高い人なので、急性期病棟に戻すのは可哀想だし、でも、Mさんの様に他患者に暴力を振るう可能性はないとは言えない。Tさんの20年前の入院時の訴えが「隣人が毒薬を撒く」で、隣家に抗議に行って警察に保護されたのがきっかけなのだ。スタッフは「薬で何とか成りませんか」と聞いてくるが、この手の、神話的にキッチリ構築されている妄想には、薬が効きにくいし、Mさんの時もそうだったが、薬を変にいじると、薬にも妄想が移ってしまって、服薬させるのが大変になることが多いので、薬はいじりたくない。Yさんを連れてきての説得も「Yはウソツキだ」と言われて無効だったし、病棟師長の「オレがYに話を着けて来た」という説得も、3日しか持たなかった。さて、どうしよう。いずれにしても暫くの外出禁止はしょうないね、と思ってた矢先、ついに夜病棟抜け出してYさんの所へ行って殴り合いのケンカになってしまって保護室に入れられてしまった。やっぱり起こってしまったー“患者同士の殺人事件もこうやって起こるのだろうな、とすると予防は不可能だな”というのが実感でありますが、世間にゃ通用しないだろうなぁ…