薬はどうやって精神に効くのか?

 毎年この時期の恒例ですが、「今日の治療薬」を買いました。それにしても、薬はどうやって精神に作用するのか、以前より不思議でしかたありませんでした。精神と脳の関係はどうなっているのでしょうか。精神は神経細胞の電気現象とか分泌する化学物質とかに還元できるのか、どうか。僕が抗うつ薬を飲んだ時は、変化に最初に気づいたのは妻で、暗い表情がそうでなくなってきた、というものでした。自分で「効いた」と思えるようになったのはその後2週間くらいしてからでした。服用者の意識では効果はすぐは実感出来ないようです。「効いた」と思ったのは、いつもの気分の落ち込みが始まった後、そうなると普段は数分間は動けなくなるはずが、予期した落ち込みの下降感がなく、ふわっと浮いた感じがした時で、<下から支えられている>という安心感がありました。それは、精神、というより身体感覚に近い感じでした。薬はあくまで身体に効くのかもしれませんね。精神は身体(脳)のあるコンディションに支えられていて、薬はそのコンディションの調整に役だっている、ということなのかな、と思っています。では精神療法はどうやって効くのか? 多分自己暗示のようなメカニズムを刺激するのでしょうが、その自己暗示のメカニズムは、というと、きっと筋肉のトレーニンによる強化のようなことが神経にもあるのだろう(右脳を使え、とか、辺縁系を開放しろ、とか)、と思えるのですが、この辺は僕の空想ですね。「精神」はまだまだ現代医学の範囲の向こう側にあるのでしょう。