新型うつ病の人へのアドバイス

 先日、いわゆる、新型うつ病の人が相談に来ました。新型うつ病は、学会の正式の病名ではないのですが、実際に臨床の場面で、働きすぎで精神失調を来す人が独特の訴えで来院するケースが増えていることは、明白であります。彼らの特徴は、仕事のやりすぎが原因・またはきっかけであることは認めるものの、自分の精神の失調を、あたかも自分の能力の欠陥のように悩み、あくまで自分だけの問題として事に対処しようとしているように見えることであります。かなり自罰的、自責的なんでありますね。現代日本の労働者に多大なストレスが掛っていることは皆とりあずは認めるんですが、「自分以外の人は気軽にクリアしているのに、自分だけ、そのストレスに負けてしまった」と、思い込んでいるようなのです。
 周りの人だって大変だ、皆大変だ、自分だけじゃない、皆悩んでいるんだ、と思えれば、かなり楽になると思い、その人にもそう伝えたのですが、当人は医者の自分へのリップサービスだ、位にしか思ってくれなかったようで、こっちの思いがうまく伝わらなくて残念でした。ストレスに負けそうになったら、右見て左見て、「辛いのは俺だけじゃないんだ」と思えれば、周りの人をサポーターにして、立ち直っていけるハズなのであります、と僕は思うのであります。過去を振り返って原因を追及しても症状は良くなりません。「これから、どうやったらストレスが軽減するかを一緒に検討していきましょう」、と言って、睡眠薬と安定剤を処方したのですが、仕事が続けられると良いと願っていますが、さて、どうなることやら・・・