ワガママな服薬自殺企図患者

 40歳男性。某県立精神医療センター通院中の統合失調症で(入院歴3回、2回ECT治療)、去年12月、自殺目的で大量服薬し、悪性症候群になり救急病院に入院し命は取り留めたものの歩行困難が続き、リハビリ目的で本年2月当院に転院してきた患者がワガママ放題。「歩けないのは薬のせい」、「不眠は薬のせい」、と薬にイチャモンをつけ拒薬し、「リハビリすると腹が減ってイライラする」、とリハビリを拒否。いろいろあって「担当医変えろ」となって、僕に依頼が来た。「退院後先生の所に通院したいが、どんな医者が会ってみたいと思った」という。「自分は<死にたくなるような薬を飲まされていた>。今後の薬は医者が決めるのでなく、自分の気に入った薬を出して欲しい。今の薬ではイライラして眠れない。今後入院はイヤだしECTも拒否する」。1時間くらい話したが、色んな精神科医の悪口ばかり聞かされて、「薬は最終的には医者が判断せざるを得ない時もある」と主張したら、「じゃあいいです、僕の言うことを聞いてくれる医者は一杯いる」。隣で聞いていた母親も「こんな病院くるんじゃなかった、診療拒否で訴えてやる」と。その後院長ともケンカして、先週車椅子で退院していったが、捨て台詞が、「医者は命を助けるのが仕事なんだから、助かって当たり前だ。自分は医者に感謝するつもりはない」であったと言う。 
 救急病院からの患者はいつ診ても疲れる。確かに患者の言い分にも3分の理はあるだろう。救急病院の先生に「救命するなら、その後のフォローも責任もって貰いたいものだ」なんて言ってみたいなぁ。