ある日の老人部屋

 入って右のJさん85歳は元校長。謹厳実直な方だったそうだが、呆けてからはファイター老人で、入院後1年たっても週に2回は介護者を蹴っ飛ばす。その奥のMさん88歳は元坊さん。アル中で住職首になりホームレスで放浪。特養に収容されたその日に2階から脱走を企てて墜落し左大腿骨骨折。人工骨頭入れた次の日にベットから転落し右大腿骨骨折。その後1年の拘束に耐えて解除されたけど、いつの間にか緘黙状態(唖)。天井向いてひとりで泣いたり笑ったり怒ったりしている。左はNさん80歳。大会社の元部長。寝たきりで寝返りも自分ではしないで、「座らせろ」と叫び、1分後に「寝かせろ」と叫ぶ。面会に来た奥さんの手を握って1時間離さなかったことがあった。その奥のTさん90歳は、こっちに背を向け、壁に向かって座って大声で何やら叫んでいる。。。マスコミは「人間の尊厳」(尊厳死、平穏死、満足死)って実に気軽に言うけれど、何か言う前に、先ずこの現実を見てからにしてもらいたい、と思う。苦しまず(周りを苦しませず)に死ねる人は限られた人ですよ。